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なぜか増えないCPUコアの数

なぜか増えないCPUコアの数

コンピューターの頭脳とも言われるパーツ「CPU」。2005年ぐらいからデュアルコアがブームになり、その後もクアッドコア、オクタコアと順調に増えていきました。そのブームから10年以上経過した2016年、今でもデュアルコア/クアッドコアが主流のまま。なぜ?今回は、このCPUのコア数がどうして増えていかなかったのかを考えてみます。

目次

CPUとは?

CPUって何よ?という方のために、簡単に説明します。知ってる方はスキップ推奨。

CPUは「Central Processing Unit」の頭文字をとった略称で、日本語では「中央処理装置」と呼ばれます。コンピューターにおけるプログラムを処理するための回路で、根幹となるパーツ。まさにコンピューターの頭脳です。

CPUを製造しているメーカーはご存知有名なIntel(インテル)、ちょっとマイナーなAMD(エーエムディー)、スマホやガラケーのモバイル分野で強いQualcomm(クアルコム)、家電などの組み込み向けに強いARM(アーム)など様々。

性能の比較は、同じメーカーであれば「周波数」と「コア数」が目安になります。周波数とコア数が同じであれば、時期的に新しいCPUの方が基本的には高性能です。メーカーが異なると、これらの数値が同じでもアーキテクチャ(構造)が異なるのであまり参考にはなりません。メーカー別に比較したい場合は、ベンチマークソフトというCPU処理の力をスコアにしてくれるソフトウェアを使って行います。

周波数はGHz(ギガヘルツ)という単位で表します。パソコンやスマホを選んでいて、1.1GHzや2.0GHzといった数値を見かけたことがあると思います。これは1秒間における処理能力を表していて、単純に同じメーカーのCPUであれば周波数が高い方が処理能力は高いと考えて間違いありません。

コア数はCPUがいくつのコアを持っているかを指します。2コアはデュアルコア、4コアはクアッドコアと呼ばれ、こちらも店頭やWebで調べていたら見かけることのある数字です。コアが複数あるほど多くの処理が行えるようになり、また分散した処理も可能になるため、コア数は多いほど性能も向上します。ちなみに6コアはヘキサコア、8コアはオクタコア、16コアにもなるとヘキサデカコアと呼ばれます。

コア数が増えない2つの要因

今回の記事でどうしてCPUのコア数について書いているかというと、性能指標の1つであるコア数が全く伸びていないからです。これ、僕の中では違和感を感じていて、冒頭で触れた通り2005年頃からCPUのデュアルコアが注目され始めました。

それまではシングルコア(コアが1つのCPU)が主流で、Intelの上位CPUですらHT(Hyper Threading)と呼ばれる仮想デュアルコアがあった程度。そんな中、Intelのライバル会社であるAMDが物理的に2つのコアを持つ「Athlon X2」をリリースし、状況が一変しました。その後、Intelが巻き返しを図り「Pentium D」、「Core 2 Duo」とリリースしてきます。さらに、デュアルコアのリリースから数年後に両者から「Pentium Quad」や「Phenom」がリリースされ、その後もどんどんCPUのコアは増えていく流れを予感させました。

こんな時代背景があり、それまではシングルコアで「周波数」のみを上げて性能向上を図っていたところに、加えて「コア数」も性能に影響を与える指標となってきます。PC雑誌のコラムでは「20年後には数千、数万コアも」と書かれていたこともあり、当然僕もそうなっていくことを疑いませんでした。

しかし、それから10年以上経った今でもデュアルコアやクアッドコアが主流のまま。スマホではヘキサコア、オクタコアを搭載した製品もありますが、まだまだハイエンド向けな存在です。どうしてコア数は増えていかないのでしょうか。僕はここに2つの要因があるのではと考えています。

省電力が求められるようになった

最近はただ単純に性能が高いものが求められているとは限らず、消費する電力と処理能力のバランスがより重要視されています。そのため、周波数が高かったりコア数の多いCPUでも電力を消費し過ぎてしまうと、一部の性能を追求するゲーマーやプロ仕様のPCを求める人以外にとってはあまり魅力的ではありません。

また、パソコンを構成するパーツ全体の処理能力が上がってきているため、仕事やプライベートを問わずノートPC(ラップトップ)を使う人が増えました。オフィス系ソフトやブラウザを使う程度であれば、実際にハイエンドなデスクトップPCは必要ありません。場所が固定されてしまうデスクトップPCよりも、持ち出しできるノートPCの方が断然便利です。

ただし、ノートPCにはもう1つ重要な性能指標があります。それはバッテリーの持ち時間。長い時間ケーブルに繋がなくても、外で作業できることはノートPCの強み。そのため、めちゃくちゃ処理が速いけど電気も消費してしまうより、適度な処理速度&バッテリーが長持ちする方が求められる傾向にあります。

このことをさらに強調しているのがスマホ。よくガラケーと比較して、バッテリーの持ちが悪くなったような話しを聞きませんか?実際に圧倒的に短くなっていますが(笑)。その代わり性能は飛躍的に上がり、出来ることも爆発的に増えて便利になったことも事実なので、多くの人はガラケーからスマホへと移行しました。

これらの理由から、性能とバッテリー持ち時間のバランスを考えたら、いくら性能が上がると分かっていてもコア数を増やすことはできません。逆に言うと、バッテリーの進化が追いついておらず、CPUをはじめ他のパーツの性能向上が思うように進められないのが現状と言えるかもしれません。

画像処理が重要になってきた

昨今のCPU業界の流れとして、GPUとの統合が進められています。GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、名前の通りグラフィック処理に特化した演算ユニットです。CPUはどんな処理でも行える万能な演算ユニットなのに対し、GPUはグラフィック処理としてセットになった専門的な命令を効率良く処理する演算ユニット、という違いがあります。

これらの演算ユニットは物理的に別々でしたが、今はこの2つをCPUに統合して効率化しましょう、という流れになっています。そのため、CPUの構造自体が複雑になってしまったことと、現在進行形でこの統合を進めている段階です。結果として、一旦コアを増やす流れから外れてしまったのだと思います。

そしてなぜCPUとGPUを統合しようとしているかというと、端末の処理速度とインターネット速度が共に高速になったことから、1つの端末で多くコンテンツを楽しめるようになったことが背景にあります。端末画面の解像度が向上し、カメラの解像度も向上、Netflixやfuluのような容量の大きい動画配信サービスも、3Dを思いっきり使ったゲームもサクサク楽しめるようになりました。これら全てに画像を高速描画するための仕組みが活かされており、GPU処理が多く使われています。そして同時に多くのことを並行して処理することが求められているのです。

今話題のVRが広がっていくこともあり、今後も益々高速で効率化されたCPU&GPUが必要とされていくでしょう。

今は技術的にコア数を増やす段階ではない

まとめると、今は端末のパフォーマンスを向上させること、電力効率を上げて省電力化を実現するにあたり、まずはコアの構造自体を改善することに注力されている現状と言えます。よって、10年以上前に話されていたコア数が爆発的に増えていく未来はもう少し先のこととなりそうです。コア数を増やすための前準備段階とも考えられるかもしれません。

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