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「チーム・オルタナティブの冒険」を読んだ

「チーム・オルタナティブの冒険」を読んだ

本書は評論家の宇野常寛さんによる初の小説作品です。

著者初の小説作品

著者がこれまで出版してきた書籍はサブカル批評が多かったのですが、本書は初の小説作品です。

テーマは「想像力」。
高校生の少年が主人公のお話しで、論理的ながらもリズミカルな宇野さんらしい文章が紡ぐ青春物語は冒頭から最後までだれることなく読み切ることができました。
しっかりと高校生の健全な青春が盛り込まれているあたりは甚だ意外ではありました。(失礼)

僕は著者のファンであるため、代表作である「母性のディストピア」をはじめとして「リトルピープルの時代」「日本文化の論点」、PLANETS各号、モノノメと読んだりラジオやYouTubeの配信なども拝聴してきましたが、本書はまさに宇野さんの集大成と言っても過言ではないと思います。
著者が発信してきた宇宙の真実の数々の中でも、僕はおそらく生涯忘れることがないであろう「リトル・ピープル理論」というものがあるのですが、本書で久々に登場し改めてその揺るぎない真実を再認識しました。
しかも青春ど真ん中の高校生活において理論が展開されるため、残酷な現実をこれまでにないぐらい分かりやすく説名する形になっていました。

今までと毛色の違う形の文章でありながら、こうも夢中にさせられてしまうとは…。

ページを捲っていくと、自分が中学、高校、そして大学時代に時々感じていた、同世代の仲間とは群れることなく一人でいたときに感じていた心地よい孤独感、そして興味ないような素振りをしながらも実はちょっと誘ってほしい…みたいな面倒な感じが自分に重なりました。

頑張って周りのノリに合わせるよりも一人でいる方が楽に感じてしまい、結果的に自分の居場所が無くなってしまう状況も、なんだか過去の自分のようだな…と。

終盤は全く予想できなかった展開が繰り広げられていくものの、著者の嗜好全開で最高です。
元々著者のファンである方は期待を裏切らない内容になっていると思いますし、もし本書が初めての一冊だったとしても絶対に楽しめるので自信を持ってお勧めできる一冊でした。

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