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「デジタル・ゴールド」を読んだ

「デジタル・ゴールド」を読んだ

いま、なにかと話題の仮想通貨。その先駆けとなる代表的な通貨「ビットコイン」の生い立ちから発展の過程がまとまった一冊。

目次

仮想通貨「ビットコイン」とは何か

相場が高騰していることから、いま投資(投機)対象として注目を集めている仮想通貨。
その代表格となるのが「ビットコイン」。
テレビでも頻繁に取り上げられるようになり、知名度も一気に広がりました。
もしかしたら仮想通貨 = ビットコインというイメージをされている方も多いかもしれません。

そんな一躍有名となったビットコインですが、まだまだ手の出しづらい非常にリスクのあるものという認識が一般的なように感じます。
まだ誕生してから10年と経っていないことと、為替相場が不安定であること、さらにはマウントゴックスのビットコイン預金が0になるという事件が印象的であることが根強く残っているからです。

実際にビットコインは物理的に存在する貨幣でもないし、価値を保証する機関も存在しないため、抽象的なイメージがあり取っつきにくいです。
僕自身もビットコイン自体を知ったのは3年ぐらい前でしたが、「どうせすぐ無くなるかな」ぐらいにしか思っていませんでした。
一時的なブームかなって。

一応システム開発をやっていたりテクニカルな仕事をしていたので「ブロックチェーン」をはじめとした技術的な部分はザッとチェックしていましたが、正直自分でお金を出してビットコインを買おうまでとは思っていませんでした。

しかし2016年から今年にかけて、世間的に急に注目されるようになりました。
特に今年に入ってからは、個人がICO(株式のようなもの)を発行できるサービス「VALU」が話題になったことが拍車をかけた感があります。

ビットコインを手に入れるための取引所も国内にいくつかあり、取引方法も非常に簡単なため、誰でもビットコインをすぐに手に入れることができる仕組みが整っています。
ビットコインの価格上昇が著しいことと、さらにこれから価格を大きく上昇する可能性を秘めた「イーサリアム」「リップルコイン(XRP)」など様々な仮想通貨も登場したことから、多くの個人投資家が市場に参加するようになりました。
ぶっちゃけ、ものすごいバブル感です。

ここまで話題になっていながら、実際にその生い立ち、技術的な内容、発展に尽力してきたコミュニティの存在はあまり知られていないように感じます。
ただ話題になっていて「将来的に価格が上がる!儲かるから買っとけ!」みたいな勢いを感じることは否めません。

個人的には通貨として使えるシーンがまだほぼ無いため、そしてバブル感もあるためビットコインを保有・運用するには至っていない。
でも、これから使うシーンは出てくるのかな、と思って手に取ったのが本書でした。

正統な「ビットコイン」の歴史が綴られている

ビットコインの生みの親として有名な「サトシ・ナカモト」が、とあるメーリングリストにメッセージを入れるところから始まります。

そこから始まるオープンソース・コミュニティの力、ビットコインの可能性に気づき、活用できる場を作る人たち、投資対象として参加する人たち。
最初は誰も目に止めない弱小プロジェックトでしたが、最初から「これは既存の通貨、金融システムを書き換える大発明かもしれない」と考え、積極的に参加する人も現れました。

ものすごく運に恵まれているように感じますが、参加する人たちの熱意が本当にすごい。
ビットコインの初期から関わっていたメンバーは例外なく個人的な利益よりも、国に管理されない理想的な貨幣を作ることに心血を注いでいる様子が伝わってきます。

Facebookのマークザッカーバークとの訴訟で有名になったウィンクルボス兄弟が投資目的で市場に参加してきたり、ビットコインで決済できる麻薬の市場「シルクロード」を運営するロス・ウルブリヒト、そして2014年に破産したニュースで有名なマウントゴックスの経営者マルク・カルプレス。

サトシ・ナカモトがコミュニティから消えた後も、ビットコインを有力な通貨として成長させようとする多くの人の葛藤が、本書には描かれています。
ストーリー形式なので読みやすく、技術的な用語もしっかり解説されているので全く知らない状態から読んでも大丈夫。

本書を通して読むと、ビットコインの発展経緯と基本原理が分かることはもちろん、新しい通貨としての可能性をイメージすることができて非常に面白いです。

本書を読んでいる途中ではありましたが、あまりの面白さに使ってみたい衝動が抑えきれず、とりあえず使ってみました。
実は以前からビットコインのウォレットだけは持っていたのですが、形だけ作っただけで取引はしたことがありませんでした。
で、実際に使ってみるとものすごい便利!!

個人的にはビットコインの価格変動が恐ろしいので為替として保持する気は毛頭なく、あくまで仲介に使うという使い方をしています。
ICOに参加してみたり。
そして実際に使ってみると、その手軽さと処理の早さには驚きます。
今のところ予定はないけど、海外への送金手段としては確かに有望。

印象的なアルゼンチンのストーリー

本書の中で、アルゼンチンでのストーリーが印象的だったので紹介します。

アルゼンチンの通貨「ペソ」はインフレが止まらず、銀行に預金しておくと価値がドンドン下がっていく。
スーパーで買い物していても値札がリアルタイムでアップデート(値上がり)される。
ペソだとあまりにも価格変動があるため米ドルにしたいが両替レートが悪い(国策であえて悪いレートになっている)。
自国の通貨の価値を信じられないから誰も使いたくないけど、政府があの手この手で制限してくるから使わざるを得ない悲惨な状況です。

日本では考えづらい光景ですが、このような国ではビットコインのような政府が関与できない、かつ決済・為替手数料が安く、ブロックチェーンにより偽造もできない信頼できる仕組みは使わない手がありません。
インドも一時期ルピーの価格が不安定な時期があったように、国の発行する通貨が不安定で頼りないというケースは世界的には結構あるのかもしれません。

でもビットコインを使えば価値の変動はあるけど世界中で使えるし、上記のように信頼性、機能性は申し分ない。
確かにこれは世界中で使いたい人が増えてもおかしくない。
アルゼンチンのストーリーから、このような可能性を想像することができました。

話題になっているビットコインをこれから使ってみようと考えている方、とりあえず使ってみたけどちゃんと勉強したい方にはうってつけの一冊。
仮想通貨の入門書としてもオススメです。

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