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WEB制作
サーバー移管(移行)の流れ
法人・個人を問わず、ホームページを運用していたら避けることのできない「サーバー移管」。トラブルなどで途切れさせることなく、スムーズに新しいサーバーに繋ぐための手順を紹介します。
目次
移管の流れ
大まかな全体の流れは次のようになります。
- 1. サーバーで運用するモノの確認
- 2. 新サーバー選定、契約
- 3. 解約手続きの確認、申請
- 4. 移管作業
- 5. 新サーバー運用開始
それでは、各項目で行う内容を詳しく見ていきましょう。
※なお、今回の記事では運用するサーバーが1台であることを前提とします。複数のサーバーを運用している場合とは事情が異なります。
1. サーバーで運用するモノの確認
まずは、現サーバー(移管前のサーバー)から、新サーバーへ移管する必要のあるものを確認していきます。大きく分けて、次のようなものが該当します。
- ドメイン
- 運用しているホームページの数
- SSL
- メール・メールアドレス
- プログラムのバージョン確認
- データベース
ドメイン
ホームページの要となるドメインについて確認。ドメインは「gray-code.com」など、ホームページに付けられた名前のようなものです。
ここで重要となるのは、ホスティング自体を行っているドメインがあるか、それとサーバーに適用されたドメイン数の2点です。
ホスティング自体を行っているドメインがあるかは、ドメインの運用がサーバーの契約に含まれているかを確認することで分かります。サーバー、または会員専用コントロールパネルにログインすることで確認できると思います。もし不明な場合は、サーバーを運用している会社へ確認することが確実です。もし専用サーバーを契約していた場合などでは、サーバーでホスティングしている場合が多いので注意してください。この段階では、ホスティングしているドメインがあるかだけ確認しておきます。
サーバーに適用されたドメインとは、ドメインを「お名前.com」などサーバーとは別に管理しているものを指します。こちらの場合、新サーバーへの移管のタイミングにDNS(Domain Name System)設定を切り替えるのみとなります。今の段階では、このDNS切り替え設定をどのドメインに行う必要があるかだけ把握しておきます。
運用しているホームページの数
次に運用しているホームページの数を把握します。上記ドメインと同数になることも多いですが、サブドメイン(1つのドメインを使って複数の子ドメインを設定する方法)が設定されているかも含め確認していきます。
SSL
ドメインに対して、SSL(HTTPS)サーバー証明書が発行されているかを確認します。専用サーバー、クラウドなどで独自に取得していた場合は証明書を移管できる可能性がありますが、共有サーバーだったりサービスと一体になっているものだと新サーバーへの引き継ぎを行えません。引き継ぎが行えなかった場合、新サーバーで新しく発行する必要があります。
コストに関わってくるため、この時点で確認しておきましょう。
メール&メールアドレス
メール関連の設定です。サーバーに残っているメールを移管するか、いくつのメールアドレスを管理しているか、設定しているパスワードを引き継ぐ必要があるかと確認していきます。
共有サーバーであったり、専用サーバーであっても場合によってメール移管が不可能な場合もあります。
しかし、よく勘違いされてしまうのですが、サーバー内のメールが引き継げないからと言ってメーラー(GMailやThunderbird)で取得したメールは移管しても消えません。すでにダウンロードしているものだからです。
プログラムのバージョン確認
システムで使用しているプログラミング言語の設定です。プログラムのバージョンが古いものから新しいものへ移管すると、非推奨の機能を使っていてエラーが出力されてしまったり、最悪動かなくなってしまう可能性があります。
そのため、現在まで動いていたプログラムのバージョンは必ず確認し、新しいサーバーでそのまま動かすことができるか確認しておきましょう。
データベース
システムでデータベースを使用している場合、データベースの種類(MySQL、Postgresqlなど)、数、規模(サイズ)を確認しておきます。
以上で大体OKです。
2. 新サーバー選定、契約
移管先となる新しいサーバーを選びます。
性能(容量含め)、コスト、サービス内容を比較し、先ほど確認した内容を運用していくことができるか検討します。
移管時は現サーバー(移管前)の解約時期と新しいサーバーの利用開始時期が異なるため、一時的に2つの契約が並行する形となります。
3. 解約手続きの確認、申請
現在運用しているサーバーの解約方法を確認します。また、ホスティングしているドメインがある場合は、ドメインの移管方法についても確認してください。
サーバー会社によって、「次月いっぱいの解約をご希望の場合、今月20日までに申請を行ってください」など取り決めがございますので、解約時期、利用料を支払う月などをここで行っておくと、関係者の認識にずれがなくなるためスムーズです。
4. 移管作業
関係者の間で移管スケジュールを決め、いよいよ移管作業です。移管作業を上から順に実行していきます。※便宜上、移管前の現サーバーを「旧サーバー」、新しい移管先のサーバーを「新サーバー」とします。
- 旧サーバーからサイトファイル、データベースをダウンロード
- 新サーバーへアップロード
- メンテナンスページの設定
- ドメインを新サーバーへ切り替える
- 新サーバーへメールアドレスの設定
- 動作確認
- メンテナンスページの解除
メンテナンスページは、ホームページ調整時などに表示する「現在メンテナンス中です」といったメッセージを表示するページです。メンテナンス予定時間などが書かれていると、より親切になります。
ドメインを新サーバーへ切り替える部分が少し厄介。というのも、ドメインは切り替えてもすぐには新サーバーを参照してくれず、設定が反映されるまで時間が掛かってしまうからです。しかも、確実に「いつまで」とも分かりません。1時間以内で反映されることもあれば、6時間待っても反映されないことも…(稀に。)
とはいえ、待つしかありません。
ドメインが反映されたら、ホームページが正常に動作するかを確認していきます。システムが走っている場合は、特に動作に問題がないか確認を行い、正常であればメンテナンスページを解除します。
5. 新サーバー運用開始
運用開始後も、1〜2週間はホームページに不具合がないか、メールはちゃんと届いていると様子を見ていきます。問題なければ無事完了。お疲れ様でした。
まとめ
以上、サーバー移管の全体像でした。運用しているホームページが多かったり、システムが動いていると複雑になりがちです。また、ホームページやメールはライフラインであるため慎重に行う必要があります。
サーバーの移管はシンプルなようで、その実かなり手間が掛かります。サーバーが変わると環境も当然変わってくるため、突発的なトラブルが起きることも少なくありません。事前に集められる情報が鍵です。
そして経験上、移管に要する時間も2時間などとタイトにし過ぎず、半日など余裕を持っておくことが柔軟に進めるポイントとなります。もちろん規模にもよりますが、作業担当者の方が2時間以内の作業で見積もっている場合、あえてより多く時間枠を設けるとスムーズに進められるのではないかと思います。