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「お金の授業」を読んだ

経済評論家である山崎 元(やまざき はじめ)さんの著書「お金の授業」を読みました。私たちの生活に必要不可欠な「お金」について、上手に付き合っていく方法を考えることができる一冊。

目次

「お金」について真面目に考えたい方が読むべき一冊

本書はお金との付き合いに関する「教科書」です。そのため、お金の使い方や貯め方について、改めて考え直したい方には打って付け。

まずは本書の構成からご紹介。タイトルに「学校」と書いてるだけあって、「xx限目」というセクションで区切られています。

  • 1限目 – 「お金」との付き合い方
  • 2限目 – 収入と支出のバランス感覚を身につける
  • 3限目 – 銀行や証券会社とどう付き合うか?
  • 4限目 – 損得は「利回り」で判断しよう
  • 5限目 – 大きな買い物の前に考えておくべきこと
  • 6限目 – 初心者のための投資の基本と考え方
  • 7限目 – 株式投資でお金をふやす
  • 8限目 – 投資信託でお金をふやす
  • 9限目 – 資産運用はトータルで考える
  • 10限目 – 経済の変動パターンとお金の運用

大まかに分けると、前半となる1〜5限目はお金との付き合い方、後半の6〜10限目は資産運用について。そして、本書が目指す「お金との付き合い方」のゴールは次のように設定されています。

まず、「お金が不足しない状況をつくる」。そして、「持っているお金については、心配しないで済むような対処法を覚える」。この二点が重要です。そのうえで、最後に「お金のことが気になり過ぎないように暮らす心構えを持つ」ことも忘れてはなりません。
お金との付き合い方を学ぶゴールとは、安心してお金のことを忘れられる人生に他なりません。

P.44 1限目 「お金」との付き合い方 より引用

前半で重要な内容

個人的に前半で特に参考になった章が、銀行の付き合い方を考える3限と、家や車、保険商品などの大きな金額の買い物について書かれた5限です。

ほとんどの方は銀行に口座を持っていると思います。「普段はATMしか使わない」と言う方も多いと思いますが、なにかと馴染みのある存在であるのが銀行ではないでしょうか(ゆうちょも同じ)。その銀行がどのように運営されているかを知っておくことで、いざATM以外に住宅ローンや定期預金などで要り用になった際にも、不必要に依存せずに、また実は「損」になっている取引を判断できるようになります。

僕自身は本書の内容から、国債などを含めた一切の金融商品は銀行窓口では買わないようにしようと思いました。窓口で対応いただく方はプロなので、そのような詳しい方から薦められる「一見お得そうで、実はそうじゃない金融商品」を無駄に購入しないためです。そのため、金融商品についてはネット系の証券会社で取引をするようにします。

お金の使い方を自分で選択できるようになる

5限で書かれている大きな買い物についても、「欲しいから買う」「お金が足りるから買える」だけではなく、購入したものが数年経った後にどれだけの価値が残るのか、実際に金額として計算する方法を学びました。

こちらの章では「割引現在価値」と呼ばれる、あるものの将来価値と現在価値の比較をする手法が解説されています。この計算をすると、10年後の100万円が現在のいくらに該当するのかを数字で確認することができます。この数字が分かれば、今持っているお金が将来にどのぐらいの価値があるかを知るヒントにもなります。

そして、このお金の価値がわかってくると「ローンを組むべきかどうか」も実際に数字にして検討することができます。ここまで金額が出てくると、住宅で頻繁に話題になる「賃貸」がいいか、ローンを組んで 「マイホーム」を買う方がいいかを数年、または数十年先までトータルで支払う金額を計算できる。その結果、将来に支払う費用や「本当はあったお金」までを含めて、どちらを選択するか検討できるわけです。

計算は苦手…という方でも数字を公式に当てはめるだけでいいので、電卓片手に読み進めて行けば大丈夫。理系じゃないとできないような複雑な計算はありません。

また、ちゃんと自分で計算してみることで、数十年単位で将来に支払うお金を計算することができ、同時に老後に残したい金額なんかも算出できて非常に便利。手を動かすことで、納得した上でお金の使い方を選択できます。

後半はお金の運用について

後半は先述の通り、手持ちのお金をどう運用するかを考える内容になっています。投資における基本的なリスクとリターンの関係についてと、各種金融商品について。さらにはNISA(少額投資非課税制度)や確定拠出年金についても触れています。

銀行口座の預金も運用方法に1種ですが、その他にも国債やMMF、投資信託、株式、外国為替(FX)などがあります。これらの金融商品を一通り解説されたうえで、リスクとリターンを適切にとって資産運用をして行きましょう、という流れ。

本書は過剰なリスクを取り過ぎない資産運用をするスタンスであるため、株式や外国為替も一応どんな金融商品かの説明はされていますが推奨していません。もう少し具体的に書くと、NISAや確定拠出年金など有利に働く制度は可能な限り活かしながらも、国債やインデックスファンドの投資など、堅実な資産運用ができる状態を目指します。このスタンスには先述した、「お金のことが気になり過ぎないように暮らす心構えを持つ」という本書の目指すお金との付き合い方が強く反映されています。
そのため、今までは資産運用を特にしてこなかった方も、堅実な方法で投資を始めることができる内容でしょう。

以上、本書の内容について書いてきました。書かれていることを実際にアクションに移すことができればの話しですが、本書を読む価値・見返りは非常に大きいため、お金を出して読んでも十分元の取れる内容になっていました。お金と上手に付き合いたい方にオススメ。

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