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「ポルシェ太郎」を読んだ

芥川賞作家である羽田圭介さんの新刊「ポルシェ太郎」を読みました。欲望と見栄が渦巻く社会の中で、「自分にとって大事なものはなにか」を考えてしまう一冊。

あらすじ

主人公は本書のタイトル通り、太郎。
35歳。

太郎はイベントなどを運営する会社を立ち上げて、順調に成果を出し、年収1,500万円を実現する。

あるとき、会社に戻る途中に信号待ちで止まっているポルシェを目にする。
そして、ポルシェに乗っている人が頭の薄くなったおじさんばかりなことに気がつく。
美しい車なのに、どうしてパッとしない「おじさん」ばかりが乗っているんだろう…。
都内で見かけるポルシェを見るたびに、やはりおじさんが乗っている現実に違和感を抱く。

別の日、仕事の外回りをしている途中にポルシェのショールームの前を通りがかる。
「ちょっと見てみるか」とディーラーに寄り、良さそうなポルシェが大体自分の年収と同じ金額であることを知る。
そして、買う。

それからというもの、ポルシェに乗り始めた太郎は仕事がさらにうまく回るようになり、理想的な彼女ができ、さらには学生時代に憧れていた女性とも再開。
もう全ての景色が変わった。

しかし、良いことばかりではない。
地元の友達には妬まれて要らない気を使わなければいけなかったり、同じポルシェに乗ってる人があまりパッとしないことに傷ついたり、気苦労も増える。

そんな良いこと、悪いことが起こっていく中でも、太郎の欲望は段々とエスカレートしていき、仕事も事業拡大しようと色々なことに手をつけ始め、思わぬ展開に引き込まれていく…。

常に漂う敗北感が堪らない

ポルシェを手にして、全てのことが順風満帆に回りはじめた太郎。
周りの人もポルシェに乗っている太郎に対して羨望、嫉妬、信用など様々な感情を抱く。

太郎はことあるごとに「ポルシェに乗ってて…」「ポルシェで..」「ポルシェがさ…」とポルシェを連発します。
違和感を感じるほどに。
太郎の周りにいる人たちも、おそらく同じように抱いていたのではないかな…と思います。
そう、ポルシェを手にする前の太郎が、都内で見かけたポルシェに乗る「おじさん」に感じた違和感のように。

ポルシェを手にして時間が経つごとに、段々と「ポルシェ」と「自分」を比較してしまったり、周りは自分が思っているほど「ポルシェに乗っている太郎」を評価していないことに気がついたり。
高価なものをステータスにする華やかさ、所有を続けることの精神的な重さを痛いほど感じることができます。

以前に読んだ、堀江貴文さんの「拝金」に近いものを感じました。
(拝金については「『拝金』を読んだ」を参照ください。)

羽田さんの著書を手に取ったのは本書が初でしたが、めちゃくちゃ面白かったです。
ババーっと読めてしまいました。
引き続き、「スクラップ・アンド・ビルド」も読んでみようと思います。

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