お金のむこうに人がいる
著者:田内 学
出版社:ダイヤモンド社(2021/09/29)
形式:単行本(¥1,760)、Kindle(¥1,426)
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本
証券会社でトレーダーをしていた経験を持つ著者による、お金と経済の本質を「人」を中心に解説する一冊です。
僕たちが生きていくうえで、必ず必要になるお金。
自分にとっては、子供も頃からもらっていたお小遣いやお年玉に始まり、年を重ねるにつれて給料や報酬として受け取るようになり。
自分の手元にあるお金は税金を納めたり、食べ物や洗剤、洋服など生活に必要なものを買ったり、時には欲しいものやちょっとした贅沢をしてみたり。
生活からは切っても切り離すことのできない存在です。
お金の使い道は広く、必要最低限はないと困ってしまうし、欲しいものを買うこともできるのでなんとなく価値があるものと考えて生きてきました。
皆さんはいかがでしょう。
お金に価値を感じませんか?
そんなお金のことを、これ以上は無理じゃないかってぐらいに分かりやすく懇切丁寧に解説してくれるのが本書になります。
本書はめちゃくちゃ乱暴に一言で紹介すると、「お金の流れ」と「お金の総量」を徹底的に分かりやすく解説した一冊です。
本書を読み進めていくと、「お金」は誰かの労働があるからこそ価値があるということが見えてきます。
そして労働の対価として支払ったお金は、実は移動しているだけで総量が変わっているわけではない、というイメージも掴めてきます。
そのことを裏付けていく話しの展開として家の中でのお金の話し、日本全体のお金の総量の話し、海外を含めた世界のお金のお話しが展開されていきます。
個人的に興味を持ったのは、日本全体のお金の話しの中にあった「年金」のこと。
日本は今まさに少子高齢化社会の真っ只中で現役世代の負担が年々増えていく一方、自分たちが年金を受け取るときには受給額がグッと下がっていそう。
正直、払い損になりそうな不安と不公平感があります。
しかし著者の主張では、今の年金を受け取っている方々は確かに納めた年金額は今の現役世代より少ないものの、一方で子どもを育てる負担は今よりもずっと大きかったことが述べられていました。
確かに世帯あたりの子どもの人数は30年前、40年前は4、5人も当たり前だったことを踏まえると、今の日本社会は「子育ての負担」から「高齢者を支える負担」に急速にシフトしている現状が見えてきました。
少子高齢化から脱却するには当然子供が増えていく必要があるわけですが、「高齢者を支える負担」が大きい現在において「子育ての負担」も増やしていくのは、ちょっとしんどすぎるというか無理があるんじゃないかな…と感じます。
そもそも「お金」に興味があって手に取った本書でしたが、ふと気が付くと「人」が集まった社会のことを考え出している。
そんな不思議な一冊でした。
最後に余談ですが、著者のもう一冊の著書「きみのお金は誰のため」もめちゃくちゃ面白そうなので近いうちに読んでみようと思っています。
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