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「第1感 『最初の2秒』の『なんとなく』が正しい」を読んだ

「天才!(Outliers)」などで有名な、マルコム・グラッドウェルの著書。「第1感」とは、あるものごとに出会った瞬間に感じたことを指します。

目次

あらすじ

「直感ですごく良いと思った!」
「これはすぐにマズいと感じた」

ふとした瞬間に、このような感覚で次に起こることが分かってしまった経験はありませんか?

これは、次のような日常的シーンでも頻繁に感じたことがあると思います。

  • 買い物をしていて、良いものを見つけた時に「絶対欲しい!」と感じる感覚
  • いつもの通勤電車に乗った瞬間に感じた違和感、新鮮さ
  • 初めて出会った異性に抱く好印象
  • 洋服を試着して鏡を見た瞬間に感じる高揚感、または違和感
  • スマホの端末をアップデートした後に感じる直感的な使い易さ、使いづらさ

これら日常に溢れた一瞬で感じる感覚が、本書で言う「第1感」です。

この感覚はなんなのか。正しい判断なのか。
はたまた、ただの当てずっぽうな勘でしかないのか。

いくつかの具体的な事例を挙げて、この不思議な直感の持つ力を解説していく一冊です。

アメリカで起きた、警官の誤射事件から考察する「第1感」

1999年のニューヨークで、パトロール中の4人の警官が誤射をしてしまい、22歳の青年が亡くなるという事件が起こりました。

時刻は0時過ぎ。
道路沿いにある家の前に佇む一人の青年。
周りをキョロキョロしていて怪しいと思った警官は、この青年に声をかける。

慌てた青年は立ち上がり、家の中へと入ろうとする。
そしてポケットに入れていた手を出した瞬間、警官の一人が「銃を持ってるぞ!」と声をあげ、警官4人が銃を発砲。
計41発の銃弾を発砲した。

倒れた青年の手から落ちたのは黒い財布。
これを1人の警官が勘違いしてしまい、声を荒げたことで他の3人も同調するかのように発砲してしまったということでした。

なぜ銃と財布を見間違えてしまったのか。
ここでは次のような先入感があった上で、瞬発的に過度のストレスを感じた警官による「第1感」が働いたことが原因となっています。

  • 治安の悪い地区
  • 青年が黒人であったこと
  • 深夜の遅い時間帯

以上のことから、警官は青年のとった行動から「銃を持っている危険がある。」と身の危険を感じ、さらに青年がポケットに手を入れたことで確信と捉えて発砲してしまった。という経緯でした。

上記は非常に残念な事件ですが、私たちは日常の中で常にこの「第1感」に影響を受けています。
それは冒頭で挙げた買い物のとき、人と会ったとき、お店で食事をするとき、生活の中のいたるところにある感覚です。

そしてこの感覚は、自分の経験、知識、先入感などに影響されることも分かっています。
つまり、ある分野の専門家であれば、その分野について感じる第1感の精度が非常に高いものになるということです。

さらに専門的な知識があるほど、「なんとなく分かる」ではなく、その「なんとなく」も自分の言葉を使って説明することができるようです

日常における活かし方

上記の通りありふれた感覚であるが故に、この感覚をコントロールすることが出来たら協力な判断指標となります。
それには本書に書いてある事例から、「なんとなくこう感じる」の「なんとなく」という部分を掘り下げる方法を理解することで可能になるはずです。

一例として、自分自身の場合を考えてみます。

まず、仕事上における第1感はかなり精度が高い気がします。
自分で言うのもなんですが…。

例えばバグがある時。
ソースを眺めていると、違和感を感じる部分が必ず見つかります。
それは自分で書いたソースだったら当然ですが、ライブラリでも同様です。

これはデザインについても当てはまりました。
違和感、しっくり感、これらは携ってきた経験から得られたものなのかと思いました。

しかし、それ以外のところで働く第1感については当てにならないようです。
洋服を買う時の選択基準、レンタルCDで適当に選ぶアルバムの好みのズレ、旅に出た時のホテルのチョイスなど。

そういった部分については、少しずつ経験値を貯めたり、インプットから補っていくのが大事ということなのかと思います。

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