著者について
ピーター・ティールはPayPalを創業した、シリコンバレーで大きな影響力を持つ起業家/投資家です。ベンチャー・キャピタルも運営しており、Facebookの初の外部投資家になるなど、革新的なテクノロジーを持った企業を中心に投資活動を行っています。
現在はベンチャー・キャピタルの運営と共にパランティアを創業。
本書のあらすじ
まずは私たち人類の「未来」を考えるところから始まります。
このまま人類の人口が増え続けていったら...のように仮定をいくつかあげ、そのような未来に対して必要となる新しいテクノロジー、そしてそのテクノロジーを生み出し、人々が使える形にして広めていく企業の存在のことを述べています。
そこで一旦1990年代のITバブルへ立ち返り、その時代のリコンバレーの状況を描きつつ、バブル崩壊後に多くの企業が学んだ4つの教訓が挙げられています。
- 少しずつ段階的に前進すること
- 無駄なく柔軟であること
- ライバルのものを改良すること
- 販売ではなくプロダクトに集中すること
一見、至極真っ当な教訓なようですが、ティールはそこで「実際に正しいのは真逆の法則」と述べ、次の4つの法則を提示しています。 ※本書のP.41より引用
- 小さい違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい
- 出来の悪い計画でも、ないよりはいい
- 競争の激しい市場では収益が消失する
- 販売はプロダクトと同じくらい大切だ
それ以降は、この4つの法則がなぜ正しいと考えるかを様々な企業のデータから解説していきます。
例に出てくる企業はGoogle、Apple、Microsoftなど名だたる企業をはじめ、Square、Box、Tesla Motorsなどのここ10年以内に創業された企業です。
これらの企業のデータによる解説のみでなく、CEOとやり取りして得た話しや、自身が創業したPayPalでの経験談も交わっているため、内容はどれも現実的であり非常に説得力があります。
個人的に響いたこと
本書が一冊の本として凄く魅力があると感じるのは、ただ単に「新しいテクノロジーを使って人類の未来を創ろう!」みたいな嘘くさい内容ではなく、今までの時代と将来やってくるであろう時代を捉えつつも、どの時代においても通用する考え方を学べる点にあると思います。
「企業として長く存在するための方法」を全体的テーマとして述べつつも、企業経営の細かいところまできちんと網羅されています。
例えば「営業」。ティールはどんなに良いプロダクトを持っていたとしても、売り方(広め方)を間違えたら失敗をすると考えています。
生まれたばかりの会社にとって必要な要素は「良いプロダクト」は前提としながら、そのプロダクトに合った市場/ユーザーの選択、広めていく方法がいかに重要なポイントであるかを、実際に存在する成功した企業、失敗した企業を挙げて解説しています。
私自身は今までにFacebook、X(元Twitter)、Apple、Mcdonaldsなどのいくつかの企業の本や、企業経営に関するビジネス書を読んできましたが、ここまで「売り方」にページを割いて重要さを強調しているものはありませんでした。
営業に特化したビジネス書とも違っていると感じたのは、ティール自身の経験に寄るところも大きいのかと思います。
本当はビジネスに携わる全ての人が目を通すべき内容
冒頭で「『起業』のバイブル」なんて言っておきながら、実際のところはビジネスについて日常的に考えている方は、どなたでも読んでおいて損しない内容です。
その理由が、本書では最終的に「どんなビジネスも答えを出すべき7つの質問」についての考察が書かれているためです。
その質問部分のみ引用させていただくと、次の7つになります。
- エンジニアリング - 段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?
- タイミング - このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?
- 独占 - 大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?
- 人材 - 正しいチーム作りができているか?
- 販売 - プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?
- 永続性 - この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?
- 隠れた真実 - 他者が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?
上記質問に答えられなかった企業と、答えることのできた企業について比較し、しっかりと具体的な回答が導き出されています。
書店、もしくは下記リンクのamazonで、ぜひ一度「目次」に目を通してみてください。
その中に1つでも興味を引く項目があったら、しつこいようですが必ず読んでおいて損はありません。