劇場
著者:又吉 直樹
出版社:新潮社(2017/05/11)
形式:単行本(¥1,404)、Kindle(¥1,123)
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本
又吉さんの新著「劇場」を読みました。前作「火花」に次ぐ2作目ということで、かなり期待もできる本書。ネタバレ無し。
次の日は朝早くから出かける予定があったのですが、なかなか寝付けずに読みはじめたら朝になっていました…。
それぐらいに一気読みできる本書。
結果としては一気読みでしたが、途中で止められないほど面白いかと言われると少し違うかも。
主人公の生活は読んでいてひたすらにイライラしっぱなしでした。
「え?この状況でどうしてそうなるの!?」という感じ。
途中から目覚めて、後半は一気に晴れ渡る展開かと思いきや、結局最後までパッとせず。
ある意味、前作「火花」の主人公に似ている部分があるかも。
あらすじだけ紹介します。
主人公は本書のタイトル「劇場」の通り、演劇作家をやっています。
あまり売らず、パッとしない。
それでも自分なりに作れるものを作って、より多くの人に自分たちの作った「演劇」という形の作品を届けたい。
劇団も大きくして、箱も多い場所で公演し、多くの人が楽しめるものを作っていきたい。
そんな夢を追いかける1人の人間の生活を描いた小説。
僕のような男性目線ではかなり不甲斐ない想いになるのですが、むしろ気になったのが女性目線。
女の人が読んだら、全然違う印象なのかも。
もし女性で読んだ方がいらっしゃったら、ぜひ感想を教えてください。
主人公への「そうじゃないだろう」というストレスを感じながら、同時に感じたのが東京という街の厳しさ。
大きな可能性を感じさせながらも、その可能性をつかめる人と、掴めない人がいる。
そして多くの人は掴めずに去っていく。
そんな現実的残酷さは本書の至るところに描かれています。
「まぁ、そうだよな」という納得感も同時に湧く。
全体的に、梅雨の時期のようなどんよりとした雰囲気。
明るい話しでは決してない。
そんな灰色の煌びやかではない生活の中でも、人は時間が経過するとどこかで気がついて、前に進もうとするんだなっていう強さも感じることができました。
「2度読むことは無いかもしれないけど、読んでおいて良かったな」
そんな一冊でした。
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