実際に起こった事件をもとにしたサスペンス小説
本書は1984年から1985年にかけて関西を中心に起こった「グリコ・森永事件」をもとにした作品です。
犯行で使われた子供の声が偶然にも自分のものであると発見してしまった男性と、出版社で未解決事件を追う記者という2人の視点でストーリーが展開していきます。
話が進んでいくにつれ、事件に巻き込まれた人々や関係者が明るみになっていき、ハラハラしながらページをめくっていきました。
単行本で418ページとそこそこのボリュームですが、最後までダレる部分がほとんどなく読み切ることができました。
(僕は単行本で読みましたが、文庫版とKindle版も出ています。)
自分が生まれる前に起こった事件なのでインターネットが日本にない時代になりますが、ここで描かれている事件が本当に起こり、さらに時効になってしまったと思うとただただ恐ろしいです。
本書の中では、事件のターゲットになった社名は実名ではなく伏せてあります。
しかしWikipediaなどで調べると時系列が一致するため、すぐにどこの会社と置き換えて描かれているかは一目瞭然です。
僕は本書に書かれている事件の時系列を紙に書き出して、Wikipediaの下記のページで時系列を参照しながら読み進めました。
グリコ・森永事件 - Wikipedia
※事件の内容は公開された情報ですが、小説を読んで知りたい方はネタバレとなってしまうかもしれませんので閲覧注意です。
読み終わってから気がついたのですが、本書を原作として映画にもなっていることに気づきました。
映画もとても臨場感があり、恐ろしい事件だったことをひしひしと感じながら最後までサッと観ることができました。
テーラー曽根役の星野源さんもとても良かったです。
興味深い作品になっていて、さらに実際に起こった事件を知るきっかけにもなるため、読み応えのある小説を読みたい方にオススメしたい一冊でした。