教養としてのテクノロジー
著者:伊藤 穰一(いとう じょういち)、アンドレー・ウール
出版社:NHK出版(2018/03/08)
形式:新書(¥842)、Kindle(¥780)
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本
MITメディアラボ所長を務める伊藤穰一さんによる、今話題になっているテクノロジーが社会に普及したらどうなるかを解説した一冊。
本書では労働、国家、資本主義、人間、教育、日本について、それぞれテクノロジーがどのような影響を及ぼす可能性が、どうなっていくかを考えていきます。
今回は、第1章の「AIは労働をどう変えるのか?」の要約です。
言語翻訳をはじめ、すでに実用段階に入っている分野もあるAI。
企業としては人を雇わずに効率化を進められるのでコストも安く業務を遂行できるようになっていく。
では「人間の労働」とは何なのか。
根本的に、お金をもらう代わりに何かをすることだけが労働なのか。
社会的には、人の活動をお金の価値に還元して計測する「GDP」のような経済指標が広く使われているため、「お金を稼ぐ=人間が働く」という発想をしてしまいがちだけど、実際には「やりがい」や「人との交流」など、お金以外の面でも働いている要素は多い。
今後は政府が全ての国民に一定額の生活費を支給する「ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)」の導入が進む兆候もあり、すると生活のためにお金を働くという面よりも、お金以外で働くことの意味を強く求めていく流れが強くなっていく可能性が高い。
AIは課題を与えれば解決に向かうが、「意味」は与えてくれない。
この「意味」の部分を考えられるのが人間である。
戦後の日本は経済を立て直すという明確な目的が社会全体で共有されていたが、今はモノが豊かになり、個人の目的が曖昧になってきている。
今こそ、自分の生き方の価値を高めるためにはどう働けばいいか」を真剣に考える時期である。
「AIが人の仕事を奪う」という話しは以前からよく聞きますが、その度に「人間だからこそ出来る仕事ってなんだろう?」と考えてきました。
よく「事務作業はAIで自動化されていくが、芸術分野は人にしかできない」みたいなことは言われてきたと思いますが、最近は小説を書くAIも登場しました。
絵を描けるようになるのも時間の問題かと思います。
このようにAIができる仕事の幅がぐーっと広がっていったとして、人がやらなくても良い仕事が増えたとすると、必然的に「なぜこの仕事をするのか?」という疑問と向き合っていく必要がありますよね。
自分も「お金が全くもらえない状況で今の仕事をそのまま続けるか?」と考えると、正直なところは「今の仕事は続けるけど量は減らす or 選ぶかも」といったところ。
経済的なことを完全に無視したら、そもそも受注制作はやらないかもしれません。
人が自分のやりたいことに集中できるようになることは大歓迎ですが、「やりたいこと」をみつけて追いかけるのも意外と難しいところですよね。
経済的な規模を追いかける必要がなければ、専門職の細分化(ニッチ化)もますます進んでいきそう。
最近は副業も広まって、本業以外で活動するフィールドを増やす人も多くなってきているので、その延長線上として「自分が本当にやりたいこと」を追求していく時期に差し掛かっているのかと思います。
個人的には、今後GRAYCODEの運営により注力していきたいところです。
「信用できるプログラミング情報をインターネット上に用意する」という理念の元、しっかりとした情報発信をできるよう取り組んでいきます。
今回は本書の第1章「労働」のみフォーカスしてきましたが、それ以外のテーマについてはまた改めて。